開発秘話:和傘式快開裝飾置物架(日文)
hachi market オリジナル商品開発秘話「bloom」
株式会社ダイドーがNETショップ(hachi market)を立ち上げたのは、2013年2月のこと。
11兆円もの(2013年当時)市場規模があり、 住宅設備としてのノウハウを生かしてエンドユーザーに適正な価格で機能的な商品を提供したいという思いからだ。
NETショップ立ち上げ時のコンセプトは、『プチリフォーム』 だ。 住宅の新築着工戸数がリーマンショック以降減少し、リフォームという考えが普及しつつあった。
とは言っても「リフォーム」には、時間もお金もかかる。 そこでダイドーの設計ノウハウでエンドユーザー様がくらしの中で不満に思っていることを解決する商品をネットを通じて販売し、 リフォームせずともくらしを豊かに。と、プロジェクトがスタートした。
そして、新たな試みが形となる。
新たな試みとして着目したのは、「伝統工芸」 だ。
『日本人が愛してきた伝統工芸の中にもムービングテクノロジーはある。 日本独特の繊細な和の動く技術を現代の生活シーンにリメイクし取り入れることにより、 日常の生活がいままで以上に楽しくならないか?』と、考えたのだ。
そもそものキッカケは、追田(ダイドー 代表取締役社長)が株式会社日吉屋(京都)で和傘体験をしたことから始まる。 和傘の “はらり” とひらく様は、現代の商品への応用を確信させた。
そこで、株式会社日吉屋 西堀氏に話を持ちかけコラボレーションが実現。
如何にして驚きをあたえるのか。
ハチマーケットと(株)日吉屋のコラボレーションの実現後、どのような商品へと落とし込むべきか。
白羽の矢が立ったのは、数々の商品を世に送り出してきたmiyake design デザイナーみやけ かずしげ氏だ。
みやけ氏の作品は、家電や自転車、食器など多岐にわたる。 シンプルなデザインではあるが、どこか愛らしく温かみがある。 もともと(株)日吉屋とも接点があることからお願いすることとなった。
こうして3社での商品開発が始まる。
まず、みやけ氏が提案したのは、和傘が “はらり” とひらく様を 『 はな 』に置き換えることだった。 『 はな 』に置き換えることで日常シーンへのイメージが容易となる。 和傘の動きとイメージを元に、何をプロダクトするか試行錯誤は続いた。
そこで世の中に目を向けると、若い女性の中でスムージーやオリジナルジュースを生活に取り入れ健康と美容への関心が高まっている。 ジューサーを作る場合、多種多様な果物・野菜を準備する必要がある。
「その果物・野菜はどこにストックされるのか?」
「色とりどりの果物・野菜をきれいにストックしたのではないか?」
その考えをもとに、商品は 『 バスケット 』 に決定した。
表現と日常の調和
ダイドーのモノづくりのこだわりは、如何にして “はらり” という動きを再現するかだ。
何度も試作を行ない検証を行なった。 羽根の形状を変え視覚的な表現をプラスすることで日常で使用する際の違和感をなくした。
また、カラーバリエーションにこだわりをみせたみやけ氏に色の選定理由を聞いた。
「この商品の特徴は、使わない時は蕾のように閉じ、使う時は花が咲くようにパッと開く、ことです。
今回の3色ではこのパッと開くという動きが、より華やかに見える色、をテーマに色を選びました。」
確かに最近では、キッチン回りの家電商品を見ても鮮やかなものが増えてきている。
また、飾る果物は赤色や黄色、緑色といった自然の鮮やかさがある。 色に囲まれた空間であるがゆえに商品自体が際立つ、ホワイト・オレンジ・グリーンの3色が選定された訳である。
もう一つ『 bloom 』には、みやけ氏のこだわりがある。
それは、使わない時も美しいことだ。 淑やかなたたずまいだからこそ 『 bloom 』をひっくり返した際の驚きが強調される訳だ。
伝統工芸を見つめてきた西堀氏
我々は、商品を開発するにあたり世の中にないモノ・新しい視点というものを大事にしている。
伝統工芸を継承しながら、我々の趣旨に賛同していただいた西堀氏は、どのような感性を持って試作品を評価するのか。 我々も楽しみであった。
和傘の開く様を言葉で表現すると “はらり” となる。 この独特の表現を商品に表現させることにこだわりを持たれていた。
感性を商品に吹き込む。 我々のモノつくりではない工程だ。
開発者の苦悩は、言うまでもない。
こうした3社の 『 こだわり 』 が、 『 bloom 』 という商品へと昇華した。
ちなみに
『 bloom 』 とは、蕾から花へと変わる様を表現した 『 花が咲く 』 という意味から名付けられた。
新聞來源:日本HACHI MARKET